おもいどおり

「操縦」という言葉がある。この「縦」って何なんだ?
「縦」方向に「操縦」する乗り物ってあんまりないよな。エレベーターぐらいだろうか?
「縦に並ぶ」「縦線を引く」の縦は前後方向を意味するが、乗り物の場合には使えなさそうだ。
そこで「縦」を漢和辞典で調べてみると「ほしいまま」と読むことが分かる。
「ほしいまま」とは「自分の思い通りに振る舞うこと」である。
これで「操縦」の「縦」の意味に合点がいく。「思い通りに操る」ことなのだ。
他にも「放縦」(勝手気ままに振る舞うこと)、
「擒縦」(きんしょう、捕らえたり放したりすること。自由に操ること)
などの熟語がある。
「縦」に対して「横」。「横」にも「ほしいまま」という意味がある。
「横行」「専横」「横暴」などの熟語がある。
また「縦」と「横」の両方を使って、
「縦横無尽」(じゅうおうむじん、自由自在に、思う存分振る舞うこと)
「縦塗横抹」(じゅうとおうまつ、乱雑に書いたり(塗)消したり(抹)すること。書き殴ること)
などの熟語ができる。
ほかにも「ほしいまま」と読む漢字を挙げると、
「独擅場」(どくせんじょう、その人だけが思うままに活躍できる所、ひとり舞台)の「擅」。
「今日の試合は彼の独擅場だった」のように使う。
「恣意(しい、自分勝手な考え)」の「恣」。
「恣意的な解釈を押しつける」のように使う。
「肆意」の「肆」も、「恣」と同じように用いる。
「跌宕」(てっとう、のびのびして細部にこだわらないこと)の「宕」。
「跌宕を極める」のように使う。
ところで、「独擅場」は「独壇場(どくだんじょう)」といわれることがよくある。
ひとりを意味する「独」に、舞台を意味する「壇場」がくっついた物と思われる。
「擅」と「壇」、形が似てるし。
それか「独断(自分一人で決断すること)」に「場」がくっついて「どくだんじょう」になったのかも知れない。
ほしいままに書いてみた。