紛らわしい字体、2つ

漢検準1級、1級より、紛らわしい字体の解説を。


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  • 叱る(しかる)

口へんに七で、叱


化や尼・北・匂などに含まれる『匕』(ヒ、さじ)とは違うので注意。


従って、『叱』という字の『七』の右上がりの画は、
「右上から払う」ではなく、「左下から書いて止める」。


『七』は、七宝(シッポウ)、七転八倒(シッテンバットウ)など、
音読みで「シツ」と読む。


同様に『叱』は、叱責(シッセキ)、叱咤激励(シッタゲキレイ)など、
音読みで「シツ」と読む。


音符から見ても、『叱』という漢字は、「口へんに七」であることが納得できるだろう。


ちなみに、動物や人を追っ払うときに「しっしっ」と言うが、漢字で『叱叱』と書く。


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  • 造次顛沛(ソウジテンパイ) とっさの場合や危難の迫った場合。わずかの間。
  • 沛雨(ハイウ) 盛んに降る雨。


この『沛』の字の旁(つくり)は、「市」ではないので、注意。


「市」は、なべぶた(亠)と、はば(巾)でできているが、
『沛』の旁は、「一」と「冂」を、縦画が貫いている。


同様に、『霈然』(ハイゼン、雨が盛んに降るさま)の『霈』も、縦画で「一」と「冂」を貫く。


こけら落とし」の「こけら」は、『沛』のさんずいを木へんに変えた漢字『杮』。
『柿(かき)』とは違う漢字なので、注意。


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『市』を含む漢字は、

  • 市街(シガイ)
  • 姉妹(シマイ)
  • 熟柿(ジュクシ、よく熟れた柿)

と、すべて「シ」と読む。


対して、「一」「冂」+縦画 を含む漢字は、

  • 沛雨(ハイウ)
  • 霈然(ハイゼン)

と、「ハイ」と読む。


『杮』も、音読みは「ハイ」。
臓器の『肺(ハイ)』も、今では旁は「市」だが、元々は同様の書き方をした。